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全部抱きしめて

全部抱きしめて

by EtoKatagiri on 2021.7.15 Thu

気がつけばもう7月。夏真っ盛りですね。私は夏に変なTシャツを着るのが好きなのですが、昔ゲイの友人に「せっかく女の子に生まれたのに、なんで女の子らしい服を着ないの?」と聞かれたことがあります。私は彼が“男とか女とかで決めつけないでほしい”的な考えの人だと勝手に思い込んでいたので、むしろジェンダーに固執してんじゃん!と軽くショックを受けたのですが、今思えば、与えられたものをなぜ享受しない?という素朴な疑問だったのでしょう。しかし、女であることが当たり前の私にとって、それはただ自然に在るものであって、享受するものではありませんでした。

先日、白目をむくほど暇だったので、田中みな実と自分の共通点でも探してみるかとググったところ、身長が全く一緒でした。さらに、姉と弟がいるところも一緒でした。身長は顔立ちと同じくらい第一印象を左右します。そして、末っ子は甘え上手だとか、姉妹がいる男子はモテるとか、きょうだい構成は人格形成に多大な影響を与えます。すなわち、私はほぼみな実と言っても過言ではないわけです。

真ん中に生まれたことで、なにかと損をしてきました。それでもみな実と一緒ならば、まぁいいかと思えます。

子供の頃、姉が私の頬をふんわり触って「これ痛い?」と聞いてきたので、「痛くない」と言うと、「じゃ、これは?」と思いっきりビンタしてきました。それから何度も同じ手に引っかかってストレスがピークに達し、姉の寝込みを襲ってボコボコにしたら、私が親に怒られました。それでも、みな実と一緒ならば。

弟がどうしても飼いたいと言って我が家にハムスター(ハムくん)がやってきた時には、結局世話をしない弟に代わって私が甲斐甲斐しく育てたにも関わらず、塾に行っている間に死にました。帰宅すると「もう埋めたよ」と言われ、ハムくんがいなくなった悲しさと、私だけ死に目に会えなかった理不尽さに、ベッドの中で一人シクシク泣きました。それでも、みな実と一緒ならば。

祖父から電話がかかってきた時にたまたま私が出て、「〇〇ちゃん(姉の名前)ね?」と聞かれ、間違われてムカついたので「いや違う」とだけ答えたら、「△△ちゃん(弟の名前)ね?」と聞かれ、シャクだったのでまた「いや違う」と答えたら、「じゃあ誰ね!?」とキレられました。一番最初に生まれた子でも、一番最後に生まれた子でもない私は、忘れるにはもってこいの存在だったようです。それでも、みな実と一緒ならば。

低い身長も、真ん中に生まれたことも、マイナスに捉えるのではなく、これからは与えられたものとして享受していこう。全部抱きしめて生きていこう。変なTシャツは捨てて花柄のワンピースを着よう。だって私は女の子だし、ほぼみな実なのだから。

そんな物思いに耽りながら、きょうだいの年齢差まで一緒だったりしてグフフと深掘りしてみたところ、みな実のお姉さんは東大卒で弟さんは北大卒。なんならみな実は帰国子女でEカップ。あれ、全然一緒じゃない…?

九州は早くも梅雨が明け、最高気温30度超えの日が続くそうです。私は今日も結局、クローゼットから横綱のイラストが描かれたTシャツをご機嫌に取り出すのでした。

Writer
片桐 絵都

ライター