Make good things

T.READ

FUKUOKA / JAPAN

Things

ちょっと足を伸ばして

ちょっと足を伸ばして

by MayuYasunaga on 2022.1.5 Wed

西新で飲み歩く様子をまとめた前回の記事「遅すぎた西新愛。」がけっこう好評だったので、今回も同じ路線でまとめたいな、と考えました。ただ、どこかひとつのまちだけで完結できるほどの情報はなかったので、【市内中心部から足を伸ばして行ける場所】とテーマを決めてここ最近をふり返ります。今年もいろんな場所に行って、いろんなものを見聞きして、知らない人や味に出会えますように。


雑餉隈 とりよし

「ざっしょのくま」という名前のインパクト以上に、ディープで多様性にあふれる場所。その駅前にそびえ立つのが「とりよし」のあるビルです。駅前にあり、外観がいかにも老舗の風格を醸し出しているから、雑餉隈に来れば探さなくても自然と出会えると思います。引き戸を開けると、L字のカウンターとテーブル席。焼き台に並ぶ串が、もくもくと煙が上がりながらおいしそうに焼けている。炭火焼きだが決して煙たくはありません。それに、にぎわっているけどうるさいわけではなく、話し声は聞き取りやすい。薄暗い、しかし温かい光の具合で、福岡ではない別のまちにいるみたいに、心地よい異国感に浸れます。

久留米 大栄うどん

行くべき店が山のようにあるまち。この日は久留米市美術館に行く前に、軽めに何か食べたかった。美術館の近くにも気になる店があるが、どうやら営業時間外。「それならば」と西鉄久留米駅の食堂街へと足を伸ばす。外観・内観に魅かれて「大栄うどん」。メニューに「たまご」を見つけたが、こうした場合、生たまごのことを指す。生たまごよりもとじられている状態が好きなので、勇気を出してダメ元で店員さんに尋ねてみる。すると、プラス10円で「とじ」にできると。ええっ、たった10円の追加でとじていただけるんでしょうか! それならば迷わず「たまごとじ」うどん。それでも1杯410円ですよ。

樋井川 長尾亭

昔は24時間営業だった居酒屋があると知り、ずっと行ってみたかったけど、車がないと不便な場所なんです。それでもまた行きたくなる。「こんなお店が近所にあったらなぁ」と入ってすぐに思わせてくれる名店だと言えるでしょう。店を切り盛りするのはお母さんと娘さん。その雰囲気がまた味わい深いんですよね。壁にぎっしりと並ぶメニューの札。それだけでも目移りしそうなのに、奥にあるホワイトボードにもまだたくさん書かれているので、見落とさないように注意。「砂ずりバター」(530円)、「納豆オムレツ」(580円)、「ラーメン」(530円)。頼みたいメニューがまだ山のようにあります。

美野島 巴蜀

この時期だけの上海蟹を求めて、美野島に出かけてきました。中国料理の温故知新を知り尽くす店主の荻野さんが営む「巴蜀(はしょく)」。本当は他のメニューも色々食べたいのですが、前菜は1品だけにして、目当ての上海蟹を「紹興酒漬け」「蒸し」両方で。口数少なめに身を外しながら、蟹、紹興酒、蟹、紹興酒のくり返し。しまいには味噌がちょっぴり残る甲羅に紹興酒を注いで、最後の一滴まで上海蟹を味わい尽くす。ああ、なんて贅沢な時間。

糸島 そば処山崎

糸島の近くでそばを食べたいと思って選んだお店。名前は以前聞いたことがあり、営業時間の確認をするために行く前に電話を入れました。忙しいお昼の時間帯だったのに親切にご対応くださり、「そばは人数分取り置きしておきますね」と。この一言がありがたいこと。田んぼのなかにある一軒家で、中に入ると20人ほど座れる席があります。コトコトと燃える石油ストーブの近くで、温かくして天ぷらの盛り合わせ、盛りそばを。そば粉はその時々で、そばは九割。関東風のから汁なので、そばの先をちょこんと浸すだけでそばの風味が引き立ちます。

古賀 ノミヤマ酒販

取材がきっかけでお店のことを知り、まちづくりの仕事をする知り合いがすぐ近くに引っ越したと聞いて友達と訪問。日本酒だけでなく焼酎、ワイン、クラフトビールも店主の許山さんのセレクト。好みや考えが見える棚っていいですね。外観向かって右側が販売スペース、左側が立ち飲みスペース。販売スペースも誘惑が多く、お酒が入った状態で買い物をするのはあまりに危険なので、酔っ払う前に店内を見ておくことを強くおすすめします……。

大牟田 福龍軒

古賀のノミヤマ酒販で飲んだ後、JRで博多に向かうも眠たくなり、コンパートメントで仮眠を取るために意図的に乗り越して終点の大牟田で降りました。せっかくここまで来たので、と思いスマホでサクッと調べて、駅から徒歩すぐの場所にある「福龍軒」へ。餃子とチャーシュー、ワンタンで瓶ビールを飲み、なんとなくリセット。いや、リセットではない? もう一軒と思って移動したらそこはすでに閉店の時間。駅で唐揚げをテイクアウトして、今度は西鉄で天神へと向かいまた飲みに行きました。もう大人なのにこんなめちゃくちゃな行動でいいのか……。

姪浜 anima

市内外にファン多数の林シェフの料理。グランドだけでもすごい数のメニューなのに、おすすめの単品料理のメニュー表もぎっしり。行くたびに料理の品数が増えているように思います。必ず食べてほしいのは「乾燥ソラ豆のピュレと青菜のソテー」(880円)、「本場のカルボナーラ」(1,320円)。それから、糸島産の卵黄のみで作る細い平打ち麺をシンプルな鳥スープと合わせる“イタリア風チキンラーメン”「タヤリン・イン・ブロード」(1,320円・上の写真)。どの料理もシンプルな味付けなのに、シェフの手にかかるとあっと目が覚めるような味に変わるからいつも不思議です。数あるメニューの中から何を選ぶかに困るので、できれば4~6名で予約して行くべし。

西新 熊猫食堂

西新愛を語るのにここを忘れちゃいけない「熊猫食堂」。ロックな空気がビシビシあふれる店内で、中国の本場の味と出会えます。前菜に出てくるのはエビ、焼き豚、豆の3種盛り。これだけですべての音と流れが決まるというか。曲の出だしみたいなバリっとした付きだしです。あと、初めて頼んでみて驚いたのは「大根もち」(2個450円)。これまで食べた「大根もち」のなかで(それほどたくさん食べていませんが)圧倒的なうまさ……衝撃の味です。


雑餉隈 とりよし
福岡市博多区銀天町1-1-16
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400108/40007568/

久留米 大栄うどん
久留米市東町316-2 エマックスクルメ2階
https://tabelog.com/fukuoka/A4008/A400801/40010077/

長尾 長尾亭
福岡市城南区樋井川3-17-15
Instagram @nagaotei

美野島 巴蜀
福岡市博多区美野島2-3-14
http://hashoku.9syoku.com/

糸島 そば処山崎
糸島市二丈松国102
https://tabelog.com/fukuoka/A4009/A400901/40024428/

古賀 ノミヤマ酒販
古賀市天神1-8-40
http://www.nomiyama-shuhan.com/
Instagram @nomiyama_shuhan

大牟田 福龍軒
大牟田市不知火町1-6-10
https://tabelog.com/fukuoka/A4008/A400807/40000627/

姪浜 anima
福岡市西区姪の浜4-23-10 Be-SQUARE 1階
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400203/40056047/

西新 熊猫食堂
福岡市早良区西新4-4-5
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400203/40006151/
Instagram @kumanekoshokudou