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読書の夏

読書の夏

by AnnaNakano on 2022.7.27 Wed

暑い夏がやってきました。あまりの暑さにもう夏いいかな、とフジファブリックのあの名曲を聴き、気持ちだけでも夏を終わらせようかと強行突破しようとした次第です。最後の花火になるどころか今年はまだ一度も花火してないのでもうちょっと夏満喫しないとですね。

満喫しようにも外で過ごそうものなら溶けてしまいそうな暑さなので写真を撮るのも億劫。なので向かうのはやはり喫茶店やカフェ。

好きな音楽を聴きながらスマホでネットの波に揺られ、ぼーっと過ごす時間が好きなんですが、最近はなんだかハッピーな話題も少なく、ネットから流れてくる情報に疲労してしまうことも増えてきました。

そこで最近は本を読むことにハマっています。今回は最近読んだおすすめの本をご紹介します。


夜空に泳ぐチョコレートグラミー
町田そのこ

本屋さんで何読もうかなと物色していたら、涼しそうな表紙と可愛いタイトルに一目惚れ。すり鉢状の小さな街で繋がる5編の連作短編集になっています。

美しく読みやすい文章の中で、涼やかな気持ちになれるのと同時に、悲しみや何とも言えない寂しさに飲み込まれました。でもなんとなく心地よく、5つの物語にでてくる人物たちが別の物語で繋がっていくのが面白く、あっという間に読み終えた1冊でした。暑い夏にぴったりな一冊です。

(涼しくなりたくて海沿いのPOSS COFFEE で)


四月になれば彼女は
川村元気

こちらも表紙が気に入った一冊。そして一生忘れられない一冊です。

あらすじ
“4月、精神科医の藤代のもとに、初めての恋人・ハルから手紙が届いた。だが藤代は1年後に結婚を決めていた。愛しているのかわからない恋人・弥生と。失った恋に翻弄される12ヶ月がはじまる。”

この物語に出てくる主人公・藤代と、元恋人のハルは大学の写真部で出会います。なので作中写真の描写も出てくるので、写真好きはおそらく好きな一冊になるでしょう。物語も良かったんですがこの作品で私は一生忘れられない言葉に出会いました。

”写真に惹かれるということは、それを撮っているカメラマンの心に惹かれるということだ。”

もう心にズドンと響き渡りました。しばらくこの文を見つめ、次のページがめくれなかったです。この言葉に出会うためにこの本を買ったのかななんて思うほどでした。


BUTTER
柚木麻子

(珈琲舎のだ ソラリアプラザ店は窓側の席が好き)

あらすじ
”男たちから次々に金を奪った末、3件の殺害容疑で逮捕された女、梶井真奈子。(通称カジマナ)世間を賑わせたのは、彼女の決して若くも美しくもない容姿だった。週刊誌で働く30代の女性記者・里佳は、梶井への取材を重ねるうち、欲望に忠実な彼女の言動に振り回されるようになっていく。濃厚なコクと鮮烈な舌触りで著者の新境地を開く、圧倒的長編小説”

実はまだ読んでいる途中の一冊です。笑

なのでまだあまり深く感想を言えないんですが作中にバターを使った料理が沢山出てきます。それもかなりリアルで、読んでいるとものすご~くバターが食べたくなります。

最初に出てきたバター醤油ごはん。あまりにも美味しそうだったのでその日の晩御飯になりました。料理本ではありません。でも夜中に読むとそれはもう立派なメシテロです。

さらに作中ダイエットを否定する文章まで出てきます。もう止まりません(ご飯が)

文字だけでかなり食欲をそそられます。そして梶井に翻弄されどんどん彼女に取り込まれていく記者・里香の行方は。
実に危険な一冊になっています。(はやく私も読みおわらなければ、、、)

本屋さんでじっくり本を選び、カフェに向かってゆっくり一日を過ごす。そんな夏の過ごし方も悪くないなと思う今日この頃です。

Writer
中野 安奈

フォトグラファー