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世の中にないものをフルーツで表現していきたい

世の中にないものをフルーツで表現していきたい

Interviewer Mayo Goto / Text Eto Katagiri / Photo Shintaro Yamanaka[Qsyum!]

2021.3.3 Wed

フルーツデザインアーティストの貴子さん・恵子さん姉妹が運営する「フルーツハート薬院サロン」では、フルーツ酵素作りやフルーツカッティングの技術が学べます。フルーツの新たな可能性をさまざまな形で提案するお二人に、サロンを始めたきっかけや、現在の活動内容、フルーツの魅力について伺いました。

体にいいものだけを食べるのは難しい。だからこそデトックスが大事。

最初にフルーツカッティングを学び始めたのはお姉さんの貴子さんだったそうですね。そもそものきっかけは何だったのでしょうか?

貴子さん(以下 貴子) 東京で専業主婦をしていたんですけど、一番下の子が生後2ヶ月くらいの時に、たまたまテレビでフルーツカッティングのスクール紹介を観て、ビビッときたんです。こんなにきれいにフルーツをカットできたら家族が喜ぶだろうし、おばあちゃんになっても自慢できる技だなって。

意外と些細なきっかけだったんですね。

貴子 そうなんですよ。その時主人が仕事でいなかったので、すぐに電話して「取りたい資格があるんだけど、いい?」って聞いたら、「ええで」って即OKしてもらえて。それでスクールに通って、2ヶ月でフルーツカッティングの資格を取得しました。当時はまだあまり浸透していない資格だったので、結構すぐに大きな仕事をいただけたんですよね。東京ビックサイトで実演したりして。その時、ちょうど恵子さんが福岡から東京に遊びに来てたんだよね?

恵子さん(以下 恵子) そうそう。びっくりしましたね。専業主婦だった姉が、いきいきと100人くらいのお客さまの前でカッティングをしているんですよ。私までテンション上がっちゃって、姉に続いて資格を取りました。その後、東日本大震災があって姉が東京から福岡に引っ越してくることになり、フルーツデザインを楽しんでもらうためのカフェを浄水通で一緒に始めました。そのうちお客さまからフルーツカッティングの技術を学びたいという声を多くいただくようになって、教室を始めたことが現在のサロン運営のきっかけになったと思います。

フルーツカッティングの魅力は何でしょうか?

貴子 ひと手間加えるだけでフルーツがアートになることですね。カットすることで食べやすくなりますし、見た目も華やかなので気分が上がりますよね。フルーツをあまり食べないお子さんが、フルーツカッティングをしてあげると食べるようになったというお話をよく聞きます。私の息子たちも、ホテルの朝食なんかでフルーツが丸ごと出てくると、自分でわざわざカットして食べますよ(笑)。子供の頃にそうした習慣を身につけておくのもいいかもしれませんね。


Pick up

思わず食べたくなるフルーツカッティング

「ペティナイフが1本あればできるシンプルさがいいところ」と貴子さん。美しい所作でサクサクとカットされ、見る見るうちにフルーツがアートに昇華!


サロンではフルーツカッティングだけでなく、フルーツ酵素ドリンクの作り方も教えられていますが、フルーツ酵素とはどういうものなのでしょうか?

恵子 フルーツ酵素は旬のフルーツを発酵させて作るドリンクで、デトックスや代謝アップに効果があります。私たちが使うフルーツは主にピュアオーガニックのもので、発酵させるための上白糖を最小限に抑え、低糖質にこだわっています。

ピュアオーガニックは普通のオーガニックとは違うのでしょうか?

恵子 オーガニック=無農薬と思う方が多いかもしれませんが、実は、比較的安全な農薬を使っているものもオーガニックとされているんです。ピュアオーガニックはさらにその上をいくもので、無農薬で、除草剤も化学肥料も使っていないものを指します。私たちが使っているピュアオーガニックフルーツは、農園に足を運び「あ、ここに蜘蛛の巣が張ってるから農薬は使ってないな」とか、自分たちの目で厳選するようにしています。だから安心して皮も丸ごと使えるし、フルーツが持つ栄養を全部取り込めます。

貴子 オーガニックブームとはいえ、まだまだ日本は海外に比べて農薬や添加物の使用量が多いんです。普通に生活していると、体にいいものだけを食べるのって難しいですよね。コンビニのものを食べなきゃいけない時もあるし、例えば瀕死の状態で病院に運び込まれた時に「その点滴、オーガニックですか?」とは聞けないじゃないですか(笑)。だからこそ、デトックスが大事だと思います。

コロナ禍の影響もあり、食を見直す動きが九州でも高まっているように感じます。今、お二人が注目しているスポットはありますか?

貴子 宮崎の綾町ですね。自治体が主体となって積極的に有機農業を行っているので、オーガニックの町とも呼ばれています。農産物だけでなく、自然環境やそこで暮らす人々の心のゆとりにもつながる素敵な取り組みだと思います。あとお店だと、大野城市にあるカフェ「森のぶどう」もオーガニックにこだわっていておすすめです。

恵子 宮崎つながりだと「ダイワファーム」です。私、唯一苦手なものが牛乳なんですけど、ここの牛乳は本当に美味しくて!甘くて臭みがなくて、ゴクゴク飲めたんです。何が違うのか農場の方に聞いてみたら、「牛が飲んでいる水が美味しいから、それで乳の味が決まるんだ」とおっしゃっていて、自然の恵みと食の循環について考えさせられましたね。

最近では、オーガニックフルーツの発酵果汁を使ったチョコレートの開発にも力を入れているそうですね。

恵子 はい。ナッツがたっぷり入ったオーガニックカカオのチョコレートや、自然栽培の米粉にグラスフェッドバター、平飼い卵などの厳選食材を使ったケーク・オ・ショコラなど、バリエーションも豊富です。レッスンを受けた方はサロンで購入できますし、ショコラクリエイターの養成講座も行っています。また、卒業生の原田とみ子さんが山口の周南市に開いた工房兼店舗「Kaminomi Cacao Bio piscine」では、さまざまな種類のフルーツ発酵ショコラを販売しています。行列ができるほど人気だそうで、ぜひ一度行ってみていただきたいですね。

貴子 普通、チョコレートは砂糖や乳化剤でカカオの苦味を和らげるのですが、フルーツ発酵ショコラはフルーツが持つ酵素の力で苦味を抑えるので、低糖質でバランスのとれた味わいになります。自然栽培の農園から届いたカカオを使っていて、植物性油脂や香料、人工甘味料は一切使用していません。

徹底したこだわりですね。私も実際にいただきましたが、フルーツ由来の自然な甘みと、カカオのリッチな風味がしてとても美味しかったです。

貴子 これを食べちゃうと、よそのものはもう買えないですね。味ももちろんですけど、吹き出物ができないんですよ。私はもともとチョコレートが大好きで、たくさん食べても罪悪感がないから、もう嬉しくていっぱい食べちゃってます(笑)。

では最後に、今後の展望について一言お願いします。

恵子 時代の変化とともに、フルーツの可能性はもっと広がっていくと思います。オーガニック志向や食への意識がより高まっていく中で、充実したライフスタイルを実現するお手伝いができたら嬉しいですね。

店舗情報

一般社団法人日本フルーツ酵素協会
フルーツハート薬院サロン
福岡市中央区薬院2-5-12 ティアラ薬院2F
TEL:092-406-7743
https://ameblo.jp/fruitheart/
http://jfea.net/

青木貴子 / 日本フルーツ酵素協会理事・フルーツデザインアーティスト
青木貴子 / 日本フルーツ酵素協会理事・フルーツデザインアーティスト

東京で専業主婦をしながら専門学校で撮影のテクニックを学んでいた頃、フルーツデザインカッティングに一目惚れし、2009年からフルーツデザインアーティストとして活動を開始。2010年から6年間、東京ガールズコレクションでフルーツカッティングのケータリングを担当した後、現在は日本フルーツ酵素協会理事を務め、新作の考案や制作、撮影、企画開発、デモンストレーションなどを全国各地で行っている。

北山恵子 / 日本フルーツ酵素協会理事・フルーツデザインアーティスト
北山恵子 / 日本フルーツ酵素協会理事・フルーツデザインアーティスト

海外に住んでいた経験、また大手クッキングスクールで働いていた経験を活かして、健康と美容につながる「真に豊かな食卓」を提供したいと、日本フルーツ酵素協会理事およびエグゼクティブインストラクターとして活動中。自身のサロンでのフルーツカッティング、酵素ドリンクの単発レッスンや資格育成講座を担当する他、百貨店や自治体、ハウスメーカーなど多方面での出張レッスンから、全国でのケータリンングも手がける。